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鉄コン筋クリート  監督:マイケル・アリアス

<あらすじ>

義理人情とヤクザが蔓延る町・宝街。そこに住む孤児の少年・”クロ”と”シロ”は、驚異的な身体能力で街の中を飛び回理、喧嘩・カツアゲで生計を立てていた。
そんなある日、宝街に、ヤクザの”ネズミ”、3人組の殺し屋、”蛇”という名の起業家の男が現れる。そして、子供たちをターゲットにした「子供の城建設プロジェクト」が立ち上げられ、町は不穏な空気に包まれる。

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レトロな雰囲気が漂い、東京とタイとインドを混ぜ合わせたような混沌とした「宝街」 がなんとも言えず美しく、ディテールにこだわった絵柄が独特な世界観を醸し出している。

街に住み着く孤児の少年で喧嘩が強いクロと、彼に守られ行動を共にするシロ、長年街を仕切ってきたヤクザ、警察、そして新規参入してきた都市開発組織の攻防がストーリーの中心だが、後半に向かうにつれて観念的なシーンが多くなり、多様な解釈ができる。

個人的には、シロの「クロの足りないネジ、シロが全部持ってる」という言葉がこの作品のテーマのように思う。 シロのように疑うことを知らぬ純粋さと、クロのような暴力性や狂気を併せ持って内に秘め、頑張ってそのバランスを保っているのが人間で、この混沌とした社会だと。


また、生活費を集めたり、喧嘩や盗みを行う時もいつもクロがシロを守っているように見えるが、その実精神的にはクロがシロに依存していて、シロ無しに生きることができないと徐々に分かってくる所も、描き方が巧いなぁ。

サイドストーリーながら、ヤクザのネズミと木村の師弟関係みたいな所も切なくて好きでした。

 


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